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守田英正、決勝点&MOM獲得の鮮烈デビュー! 監督も大絶賛、サンタ・クララの救世主になるか?【分析コラム】 - フットボールチャンネル

守田英正、サンタ・クララでついにデビュー

守田英正
【写真:Getty Images】

 エスタディオ・ドス・アルコスのピッチに立ち込めた深い霧のなかで、ポルトガルリーグ初舞台を踏んだ日本人選手がまばゆい輝きを放った。

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 現地25日にポルトガル1部第15節が行われ、アウェイに乗り込んだサンタ・クララはリオ・アヴェに2-1で勝利を収めた。

 今冬、川崎フロンターレからサンタ・クララへ移籍した日本代表MF守田英正は先発出場でポルトガルリーグデビュー。リオ・アヴェに所属するU-23日本代表FW食野亮太郎も2試合ぶりにスタメンに名を連ねた。

 最初に試合が動いたのは24分だった。サンタ・クララは自陣中央で相手センターバックからの縦パスを引っ掛けると、カウンターを発動して一気に前線へ展開。クライサンからのスルーパスを受けたカルロス・ジュニオールがスライディングしてきたDFを切り返しでかわし、寄せてきたGKの股も抜く技ありのフィニッシュでサンタ・クララに先制点をもたらした。

 その直後の26分、食野が豪快な一撃を叩き込む。味方のシュートがGKに弾かれてこぼれたところに詰め、右足を思い切り振り抜くと、真っ直ぐの弾道で強烈な一発がゴールネットに突き刺さった。

 ガンバ大阪出身のアタッカーは、先発の機会をもらった2試合連続でゴールを挙げて今季3点目。いまだ調子の波の激しさに改善の余地はあるものの、リオ・アヴェでの存在感は徐々に増してきている。

 だが、この試合の主役は食野ではなかった。彼がポルトガルリーグの“先輩”としての矜持を示したなら、守田はこれからの快進撃を期待しないわけにはいかないパフォーマンスで自らの価値を証明して見せた。

最終盤に技あり決勝ゴール

 4-4-2の中盤でダブルボランチの一角に入ると、前半から積極的にボールに絡んでテンポの良いパスさばきでゲームを組み立てていく。フロンターレで磨いた、コントロールのファーストタッチと同時に前を向く半径の小さなターンはポルトガルでも十分に通用した。

 中盤で次の選択肢を見つけるのが他の選手よりも早く、守田を経由するとパス回しのテンポが変わった。味方をサイドの深い位置に走らせるロングパスも2本中1本成功。ボール支配率こそリオ・アヴェをやや下回ったが、新加入の日本代表MFがサンタ・クララのポゼッションを安定させていた。

 守備面でも自らの特徴を発揮。数える限り相手の縦パスをカットしたインターセプトが2回、球際の競り合いでボールを奪ったのが90分間で3回あった。ファウルを取られはしたものの、激しくぶつかって相手の自由を奪うプレーも4回ほど見られた。

 ポルトガルリーグ特有の縦への速さや、個の推進力にまだ適応できていないため、たまにポジションを前にとりすぎて縦パスや相手の突破を後ろから追いかける形になったのは仕方ないか。試合を重ねるごとにタイミングやポジショニングの勘はつかめていくはずだ。

 一方で目を見張ったのは攻撃面における積極性だ。後半にペナルティエリア付近からのシュートを2度ブロックされたが、最後にはチームに勝利をもたらす決勝点を奪って見せたのである。

 最終盤の89分、前線に飛び出した守田はコスティーニャが浅い位置から上げたクロスをペナルティエリア内でコントロールすると、即座に右足を振り抜く。FW顔負けのシュートがゴールの左サイドネットに突き刺さった。

 ただの1点ではない。後半になって時間が経つにつれて濃くなり、画面上でも視界の悪さがわかるほどの霧のなかで難しい軌道のボールを完璧にコントロールしていた。サンタ・クララは守田のゴールによってリーグ戦6試合ぶりの勝利を手にした。

監督も「すごい試合」と大絶賛

ダニエル・ラモス
【写真:Getty Images】

 現地放送局の実況が試合中に何度「イデ」と呼んだだろうか(ユニフォームネームは「HIDE」だが、ポルトガル語では単語の頭の「H」を発音しないため、「ヒデ」ではなく「イデ」に近い発音になる)。

 いきなりの先発出場でボールタッチはチームで2番目に多く、中盤より前の選手では最多の「58回」、パス成功率も「85%」と高い数値を記録した(フロンターレ出身の彼にとっては満足できる数字ではないかもしれないが)。文字通りチームの「中心」にポルトガルリーグデビューの日本人MFがいた。

 試合を終えると、マン・オブ・ザ・マッチとして守田英正の名前が画面に映し出された。選ばれるとトロフィーを受け取って中継局のフラッシュインタビューを受けることになるが、インタビュアーもいきなり日本人が選ばれると思っていなかったのか、”Hide, Congratulations…Are you happy?”(あえて訳すなら「ヒデ、おめでとうございます。うれしいですか?」)と慌てて英語に切り替えて問いかけた。

 苦笑いを浮かべる守田は”Yes, I’mHappy”(はい、うれしいです)と答え、インタビュアーの”Thank you”に対し”Muito Obrigado”(どうもありがとうございます)とポルトガル語でお礼をして十数秒のインタビューが終了。語学力には改善の余地がありそうだ。すぐに次の選手が呼ばれた。

 両チームの選手のあとにフラッシュインタビューに応じたサンタ・クララのダニエル・ラモス監督は、「イデ」の話題を振られると笑みを浮かべて「すごい試合をしたね」と守田を絶賛した。

「チーム全体も素晴らしかったが、守田はすごい試合をした。ファンタスティック。素晴らしいデビュー戦だった。彼のパフォーマンスとチームの勝利を嬉しく思う。我々は勝利に値するプレーをした。ピッチに立っていた選手たちだけでなく、ベンチにいた選手たちもチャンスをつかむためにハードワークしてくれている」

アゾレス諸島に追い風が吹く

守田英正
【写真:CDサンタ・クララのインスタグラムより】

 ここでダニエル・ラモス監督は「すごい試合」と述べる際に”Grandissimo”という単語を使っていた。英語でいう形容詞の”Great”と同じ意味の”Grande”の最上級が”Grandissimo”である。今の守田にこれ以上の褒め言葉はないだろう。ポルトガルリーグ初挑戦の選手をいきなり先発でデビューさせたことから、すでに指揮官が一定以上の信頼を置いていることもうかがえる。

 今後はチーム内でより重要な存在担っていくのは間違いない。財政難のサンタ・クララは2017年1月から4年間にわたって主力を担い、昨季からはキャプテンも務めていた元イラク代表MFオサマ・ラシッドを、つい先日トルコ1部のガジアンテップに放出した。中盤でライバルになるはずだった選手が抜けたのは追い風だが、同時に守田の背負うべき責任は大きくなっている。

 次節は現地2月1日にホームへ戻ってのベレネンセス戦となる。サンタ・クララの本拠地絵スタディオ・ド・サン・ミゲルはリーグから芝生の張り替えを推奨されるほど、ピッチ状態が悪いことで知られる。

 クラブの会長がスタジアムの所有者である地元自治体に「サンタ・クララとアゾレス諸島のイメージを損なうような状況が繰り返されるのを避けるため、緊急に芝生を張り替える必要がある。昔ながらの方法で穴を埋めるだけでなく、張り替えが不可欠だ」と訴えるほどだ。

 映像で見てもかなり芝の根付きが悪く、すぐにめくれてしまうほど地面が緩いことが確認できる。ショートパスでゲームを組み立てるのが持ち味の守田は、次節のベレネンセス戦で初めて立つことになるであろうホームスタジアムの劣悪なピッチでも力を発揮できるだろうか。

 とはいえ語学力も芝の問題もポルトガルサッカーへの適応も外野が勝手に抱いている不安であって、杞憂で終わればそれでいい。

 チーム内得点王だったチアゴ・サンタナを清水エスパルスに放出し、キャプテンも手放すなど、中位をキープしながらシーズン途中に主力が次々流出しているサンタ・クララで守田は救世主になるかもしれない。フロンターレでもそうだったように、ポルトガルでもチームにたくさんの勝ち星をもたらす活躍を大いに期待したい。

(文:舩木渉)

【了】

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