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りくりゅう、目標達成の秘策は? 幸せ招く新春インタビュー - 毎日新聞

インタビューに臨む三浦璃来、木原龍一組=大阪市中央区で2022年12月26日、吉田航太撮影 拡大
インタビューに臨む三浦璃来、木原龍一組=大阪市中央区で2022年12月26日、吉田航太撮影

 フィギュアスケートのペアで昨年、日本ペア史上初めてグランプリ(GP)ファイナルを制した三浦璃来選手、木原龍一選手組(木下グループ)が毎日新聞のインタビューに答えた。「りくりゅう」の愛称で多くのファンに親しまれる2人。35歳の私(記者)も、絆の深さに圧倒されっぱなしだった。【聞き手・倉沢仁志】

トロントに「巣ごもり」

 ――2022年を振り返るとどんな1年でしたか。

 三浦選手 北京冬季オリンピックがあったので、昨年1月から3月にかけては、ものすごいスピードで流れていきました。

 木原選手 早かったね。

 三浦選手 もう、めちゃめちゃ早かった。そこからは、2人ともありがたいことに、シーズンオフも忙しくさせていただきました。そこからは私のけが(昨夏に左肩を脱臼)があり、2、3カ月は一緒に滑ることができませんでした。でも、シーズン最初の試合から、自分たちの演技はできたと思います。

 木原選手 五輪が終わった後、少し燃え尽きてしまった感じがありました。ただやっぱり、シーズン最後に悔しい思いをしたので、今季のよいモチベーションにはなったかなと思っています。

 シーズンオフの間は、アイスショーに呼んでいただいたり、お世話になっている方々へごあいさつに行かせていただいたり、本当にいろいろ、忙しかったかな。

笑顔で写真に納まる「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組=大阪市中央区で2022年12月26日、吉田航太撮影 拡大
笑顔で写真に納まる「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組=大阪市中央区で2022年12月26日、吉田航太撮影

 璃来ちゃんのけがそのものは良いことではなかったんですけど、それによって2人で滑ることができることのありがたさや、試合に出ることができること、常に練習拠点のトロントでブルーノ・マルコット・コーチの下で学べるありがたさなどをすごく感じました。心の成長という面ではよかったと思います。

 ――悔しさというのは、銀メダルだった昨年3月の世界選手権(フランス・モンペリエ)のことでしょうか。

 木原選手 そうですね。本当にシーズンで最低の演技をしてしまって……。

 三浦選手 あの試合だけ200点切ってしまった(合計199・55点)。最後の試合でやらかしちゃった。でも逆にやらかしちゃったからこそ、次のシーズンに向けて絶対やってやろうと。

 木原選手 (振り返れば)よかったと思う。あれで成功していたら多分、いや絶対、練習しなかったもんね。

 ――北京冬季五輪を終えてからのモチベーションの維持はそれほどに難しかったと。

 三浦選手 やはり五輪にピークをもってきていたので。五輪が終わった後の調子の落ち具合というのが、本当にすごかった。

 木原選手 モチベーションが一気に下がってしまった。やはり五輪で団体、個人ともに少しでも上にいくということを目標にやってきたので、シーズンの目標がなくなってしまった感じがあった。どう頑張っても調子が戻らなかったというのはありました。

 ――2人は19年夏の結成から4季目を迎えていますが、ターニングポイントのシーズンを挙げるとするならばどこになりますか。

笑顔で写真に納まる「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組=大阪市中央区で2022年12月26日、吉田航太撮影 拡大
笑顔で写真に納まる「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組=大阪市中央区で2022年12月26日、吉田航太撮影

 三浦選手 私は、2季目のシーズンの21年3月の世界選手権(ストックホルム)だと思っています。

 木原選手 (新型コロナウイルスの感染拡大で)僕たちは1年間トロントに巣ごもりという感じになってしまっていて、一切、姿を現していませんでした。

 世界選手権で、1年ぶりくらいに演技を披露させてもらいました(結果は184・41点で10位)が、そこで「ああ、ここまで点数が出るようになったんだ」というのはありました。

 確かに、あそこは僕たちの中でのターニングポイント。このままいけばコーチのいうように、世界のトップ10に入れるんじゃないか、もっと上にいけるんじゃないか――、と思えるようになった時かな。

 ――では、木原選手もやはりポイントはストックホルムですか。

 木原選手 うーん……。でも、三つくらいあるんですよね。

 三浦選手 確かに(笑い)。めっちゃある。

 木原選手 一つ目が結成して数カ月後の19年11月のNHK杯。これは「このままいけば世界が少しずつ見えてくるんじゃないか」という思いがありました。

 二つ目が、ストックホルム。そして三つ目が、21年9月のオータム・クラシックですね。

 あの試合で初めて200点を超えることができた(合計204・06点で優勝)ので。僕たちの中で、合計200点を超えるペアというのは世界トップペアという共通認識がありました。あの大会で200点を超えられたので、成長しているなと実感しました。

 ――結成当初から目標にしていたスコアだったのでしょうか。

 木原選手 違いますね。21年4月の国別対抗戦でショートプログラム(SP)65・82点、フリー130・83点と合計で190点を超えました。ストックホルムの世界選手権ではフリーが120・04点だったので、3、4週間で10点伸びたのがびっくりしてしまって。それで「来季は200点出したいね」という目標を掲げ、達成することができました。

「もう頑張りましたよ、五輪」

 ――改めて、昨年12月のGPファイナルを振り返ってください。

 三浦選手 私はどの試合も(重圧を)感じていますが、ファイナルは初出場ということもあったし、GPシリーズで出場が重ならなかった選手たちとも、ようやくファイナルで戦うので、その緊張感もありました。

 木原選手 ファイナルはものすごく緊張して……。というよりも、初めての緊張感だったかな。ファイナル自体の経験が僕自身になかったので、ものすごく緊張しました。

 ――木原さんはGPファイナルと五輪、どちらが緊張しましたか。

 木原選手 ファイナルの方がすごかった。五輪は冷静でしたよ。

 三浦選手 本当に、こんなに緊張している龍一くんは初めて見るという感じなくらい、しゃべらなかったんですよ。なんか「イメージトレーニングしているから、ちょっとしゃべりかけないで」と言われて……。

 木原選手 集中しているのに、しょうもない話をしてきたんですよ(笑い)。

 三浦選手 フリーの日の会場へ向かう行きのバスの中なんですけどね。いつもは会話するのに、それがなくて。会場に着くまで無言だったんですよ。それで「あれ? いつもの龍一くんじゃない」と。結成初の「無言」でした。

 木原選手 でも、一回もう緊張したので次からは大丈夫です。ファイナルは僅差の戦いになるというのは予想していたので、絶対自分はミスできないという思いはありました。ちょっと追い込みすぎましたけどね。

 ファイナルを経験したことで、気がすごく楽になりました。こういう緊張感になるんだというのはものすごくわかりました。

 ――では、目標を色紙にお願いします。

 三浦選手 「2022年」って書けばいいのかな?

 木原選手 「2023年」だよ。22年をもう一回やらなくていい(笑い)。もう頑張りましたよ、五輪。

 いつも璃来ちゃんの書いた目標が達成されているから、璃来ちゃんの書いた目標にしよう。

意気込みを書いた色紙を手にする「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組=大阪市中央区で2022年12月26日、吉田航太撮影 拡大
意気込みを書いた色紙を手にする「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組=大阪市中央区で2022年12月26日、吉田航太撮影

 ――では「トータル220点」と書いた理由をお願いします。

 三浦選手 理由……。ある?

 木原選手 あるよ(笑い)。今季のベストは、SPが(昨年11月のNHK杯の)78・25点、フリーは(北京冬季五輪の)141・04点。合計は(NHK杯の)216・16点です。今季はフリーがまだノーミスできていないので、よいプログラムをそろえることができればこの目標を達成できると思います。

 ――今年は自国開催の世界選手権があります。

 三浦選手 過去2大会の世界選手権は自分たちの納得いく演技ができていない。今季こそは自分たちの一番よい演技を出せるように頑張っていきたいです。

 木原選手 本当に。過去2大会は思い描く演技ができていなかった。ベストな演技をしたいですね。

みうら・りく

スケートカナダのペア・ショートプログラムで演技を終えた三浦璃来、木原龍一組=カナダ・ミシソーガで2022年10月28日、吉田航太撮影 拡大
スケートカナダのペア・ショートプログラムで演技を終えた三浦璃来、木原龍一組=カナダ・ミシソーガで2022年10月28日、吉田航太撮影

 2001年生まれ、兵庫県出身。女子シングルから15年にペアに転向。17年世界ジュニア選手権13位。19年から木原龍一選手とペア結成。実家には3匹の愛猫がいるが、自身は猫アレルギー。

きはら・りゅういち

 1992年生まれ、愛知県出身。男子シングルから13年にペアに転向し、14年ソチ五輪、18年平昌五輪に出場した。プロ野球・中日ドラゴンズのファンで、シーズンはもちろんキャンプ情報などもチェックする。

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